企業サイドのターゲット採用

ある調査では、この20年の間、日本のGDPは低成長を続けているのもかかわらず、新卒採用人数に関しては、厳しいというよりも手堅いともいえる状況です。

全体の倍率も1倍を切ることなく、続いているのです。以前の「就職氷河期」と呼ばれた時代の頃よりも、仕事の数は増えているし、新卒者のニーズは堅いということを認識してほしいところです。

現在起きてしまっている、「就活断層」の原因の象徴とも言えるのが、企業による「ターゲット採用」です。これは、採用する学校、求める人材などを、企業側があらかじめ設定しておいて採用活動を行っていくことです。

これによって、就職活動そのものが、学生全員のものとなっていないことに気づかなくてはいけません。

一部の学校に通う学生をターゲットとして、採用活動を行うことにより、それ以外の就職希望者に、エントリーや選考のチャンスさえ与えられない状況が作り出されてしまっているのです。

では、ターゲットとする学校を設定してる企業は、実際には何校くらいを選択しているのでしょうか?ある調査で、実は、20校に満たないとしている企業が8割以上であることが分かりました。

企業によって、ターゲット校は違ってきますが、いわゆる、国内で優秀とされる大学、有名大学などが中心となっています。つまり、この状況をそのまま受け止めるなら、採用企業が、大学名で選考に差をつけている状態です。

ターゲット外の学生が就職ナビなどからエントリーしたとしても、採用につながることはまずない、ということになります。内定がもらえず、苦労している学生の努力が無駄になってしまいます。

企業では、エントリーシートを大学名で分け、大学郡ごとに会社説明会のスケジュールを組み、学生に知らせて、参加可能人数枠を設けているという、"仕分け"が行われていることが多いのです。表向きは、「会社説明会は抽選で参加者を決めます」とうたいつつ、このような常套手段を使っているのです。

氷河期では片付けられない就活

企業の新卒採用に対するホンネ