採用企業が気にする学生の質
「就活断層」を助長する"ターゲット採用"を、採用企業側が行っているのはなぜなのでしょうか?対象となる学校の学生とそうでない学生の内定状況や、内定先企業の規模など、あきらかに差が出てしまっています。
それには、「分母から分子へ」という考え方があるからだというのです。以前の採用方法では、より多くの学生を集めて選考を行い(これが分母)、そこから絞り込む(これが分子)という方法が取られていました。
しかし今は、学生を「何人集められたか」という分母には関係なく、最終的に残った学生の質や、マッチングの精度を重要視する考え方に変わってきているのです。
つまり極論は、10人の採用を考えているときには、何千人もの"分母"は作ることはなく、最もマッチする、フィットする10人を集めれはそれで良いということです。
企業では、採用活動だけではなく、商品企画や営業など、ターゲットを設けて行うのが当然のことがたくさんありますから、一概に否定することはできません。
しかし、ターゲット採用が、とても安易に"学校切り"となっていないだろうかと懸念されています。「どう頑張っても内定がもらえるはずはない」というような事態になっていないだろうかということなのです。
企業が"ターゲット採用"を推進していく理由はどこにあるのか。それは、大きく分けて2つの理由があるからです。
その一つが、学生の質に対しての不満や不安、誤解があることです。単に若いからという理由で、能力が低いとか、「ゆとり教育制度」のもとで教育を受けてきた世代に対する批判があること。
本当にゆとり教育のために学力が落ちているのかどうか?昔と比較すると、大学生自体がとても増えたこと。やはり上位校志向の流れは変えられないこと。これらが、「就活断層」の溝をますます深いものにしてしまっているのです。