就職氷河期と「就職断層」

就職氷河期が再びやってきたという、メディアによる報道がなされていますが、以前、1990年代半ば〜2000年代前半まで続いた氷河期時代とは、前提とする条件が全く変わっているのです。言うならば、「就活断層の襲来」です。

この「就活断層」についてですが、これは、学生と企業が"断層"によって分けられてしまい、お互いが出会えない、ミスマッチの状況を作り出しているために、就職率が下がる、内定がもらえないという現象が起きていることと定義します。

さらにこの"断層"の溝を深くしてしまっているのが、本来なら、企業とのパイプ役となって当然の、近年、就職活動のツールとしては当然のように利用されている、「就職ナビ」なのです。

さらに、男女間、地域間、学歴などの格差という、細かな断層も発生している状態です。これらの決定的な断層の溝を埋められない限り、大半の学生にとっての就職活動の目的である「内定獲得」が実現する可能性がとても低くなってしまいます。

結局は、「就職活動」というものが、一部の学生と企業のものになってしまっているのです。

この断層構造によって、就職氷河期だといわれつつも、実は"内定長者"と呼ばれる学生に、何社からもの内定が集中してしまっているという現象が起きています。

もちろん、学生の努力もありますが、就職活動や採用活動の構造的なものによる結果であることに気づくべきです。

確かに、新卒採用者というのは、景気によって左右される求人の増減の影響を大きく受けてしまいます。でも、冷静に観察してみると、新卒に対する求人数は、長期的に見て増え続けているのです。

氷河期では片付けられない就活

企業の新卒採用に対するホンネ